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働く手応えは、どこから生まれるのか。開発の出発点にある問い

働く手応えを支える仕組みをつくる|第1回

「もう少し、自分で考えて動いてほしい」
「自分なりに工夫しているけれど、何を期待されているのか分からない」

これは、会社と働く人のすれ違いを考えるための、仮の場面です。同じ仕事に向き合っていても、上司が見ていることと、本人が経験していることは、必ずしも重なりません。

上司のいう「自分で考える」とは、どこまで判断することなのか。本人は何を工夫し、どこで迷っていたのか。そこが言葉にならないままでは、お互いに努力していても、次の一歩を決めにくくなります。

WORKLENSでは今、こうした会社と人のあいだを理解する支援に、AIを活用するための開発を進めています。この連載では、その出発点と、つくりながら考えていることを綴っていきます。

企業と個人、両方に関わってきた中で

私は大学卒業後、NTT西日本に入社し、法人営業、事業開発、人事・採用などを経験しました。また、国家資格キャリアコンサルタントとして、延べ100名以上の転職をサポート。1年以上にわたる伴走型の支援にも継続して携わってきました。

企業側と個人側の両方に関わる中で、考えるようになったことがあります。

人が力を発揮できるかどうかを考えるとき、本人の能力や意欲とともに、任されている仕事、伝わっている期待、周囲から受けられる支援にも目を向ける必要があるのではないか、ということです。

本人が経験してきたことが、上司には十分に伝わっていない。会社が期待していることを、本人は具体的につかめていない。そうした可能性を、一つずつ確かめられる機会をつくりたいと思っています。

期待、経験、手応えを分けて捉える

開発の土台に置いているのは、「会社が期待していること」「本人が実際に経験したこと」「本人が感じている手応え」という三つの視点です。

たとえば、「資料を作成した」という一つの経験。その中で、誰に伝えるために何を調べ、どこを自分で判断したのか。結果だけでは見えにくい仕事の中身があります。

一方で、その仕事を終えた本人が、どう感じたかは別に聞く必要があります。役に立てたと感じたのか、少しできることが増えたと思ったのか。それとも、何のための仕事だったのか、まだ分からないのか。

「成果が出たから、手応えもあったはず」とは決めずに、本人の言葉で確かめる。「まだ分からない」という答えも、その時点の大切な情報として受け止める。その姿勢を、仕組みの中でも保ちたいと考えています。

振り返りを、日常の支援につなげるために

仕事の経験を言葉にする機会を、日々の中で持ちやすくできないか。その方法として検討しているのが、AIとの対話を通じて経験を振り返り、整理する仕組みです。

最近の出来事を話し、自分がしたことや判断したことを振り返る。整理された内容を本人が確認し、上司と話したいことを共有する。そうして準備した材料を、次の1on1や仕事の相談につなげていく。いまは、その流れを形にしている段階です。

ただ、振り返ること自体が新たな負担になってしまう可能性もあります。話した内容が自分の意図と違ってまとめられたり、共有される範囲が分かりにくかったりすれば、使い続けたいとは思えないかもしれません。

何を尋ねるか。どこまで整理するか。誰に何を渡すか。一つひとつの設計を、実際に使う人の立場から確かめていく必要があります。

まず確かめたい、小さな変化

最初に確かめたいのは、経験を振り返ることで、本人と上司が次の仕事について具体的に話しやすくなるか、ということです。

何を任せるのか。どこまで本人が判断できるのか。上司はどんな支援をするのか。次はいつ振り返るのか。そこまで話が進み、その後の仕事に変化が生まれるのかを見ていきたいと思っています。

会社と人のあいだを理解し、働く手応えが生まれる環境をつくる。

WORKLENSが大切にしているこの考えを、日常の中で使える支援へとつなげることが、今回の開発の軸です。

まだ、確かめられていないことも多くあります。次回は、対話、記録、共有をどうつなごうとしているのか。開発の裏側にある仕組みと、そこで考えていることを紹介します。